Knowles の PDM(Pulse-Density Modulation)インタフェースの超音波帯までセンシング可能なMEMSマイク SPH0641LU4H-1からESP32 への入力をESP-IDFフレームワークのプログラムで試した。

「PDMインタフェース MEMS マイク SPM0405HD4H を ESP32のESP-IDF で試す」で示したサンプルプログラムespidf_pdm_mic_outを基に、espidf_pdm_sph0641_mic_out を作成し、試した。

ハードウェア

• Espressif ESP32 開発ボード
  • WeMos Lolin D32
    • https://wiki.wemos.cc/products:d32:d32
• デジタル出力MEMSマイク変換基板
  • CRESCENT-006
    • Knowles の MEMS (Micro Electro Mechanical Systems) マイク SPH0641LU4H-1を使用
    • https://www.switch-science.com/catalog/3379/
• スピーカ
  • 基板取付用小型ダイナミックスピーカ　ＵＧＣＭ０６０３ＡＰＥ
    • http://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-10128/
• コンデンサー
  • PDMで直接出力する場合にローパスフィルターの一部として使う(PDMでコンデンサを外しても音は聞こえる)。
  • DACで変換して出力する場合には、なくて良いはず。
  • 0.1μF コンデンサ
    • DFRobot ECell の 100nF のコンデンサ
      • https://www.dfrobot.com/product-1386.html
    • DFRobot ECell はブレッドボード用端子が付いたものだが、普通のコンデンサがあればそれでよい。
• ブレッドボードと配線材

ブレッドボード図

PDMで直接出力する場合を示す。

Low Pass Filterの一部としてコンデンサを入れているので Digital Analog Converter (DAC)を利用する場合には、コンデンサを省略して良い。

実際の配線例

回路図

PDMで直接出力する場合を示す。

Fritzingファイル

espidf-pdm-SPH0641-mic-out-1.fzz

1 ファイル 36.78 KB

ダウンロード

パーツCRESCENT-006のFritzingデータ

デジタル出力MEMSマイク変換基板 CRESCENT-006

1 ファイル 12.87 KB

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ソフトウェア

「PDMインタフェース MEMS マイク SPM0405HD4H を ESP32のESP-IDF で試す」で示したサンプルプログラムespidf_pdm_mic_outを少しだけ手直しした。サンプリング周波数の変更が主な変更点である。

再生時に、DMAのバッファの内容が繰り返し出力されて、録音の最後の部分が繰り返し再生されるようなので、録音データを再生後に、空のデータをDMAバッファに書き込んで、無音になるようにしている。

マクロ 

マクロの設定によって、サンプリング周波数や出力を切り替える。

• FREQ_KILO
  • kHz単位のサンプリング周波数を指定する。可能な数値は、48、96。
  • 192も設定可能であるが、正常に動作しない。
• PDM_OUT
  • 出力をPDMそのままで行う場合には1、DACで変換する場合には0にする。

また、「PDMインタフェース MEMS マイク SPM0405HD4H を ESP32のESP-IDF で試す」を基にしているので、出力をモノラルにするかステレオにするか、あらかじめ用意してあるデータをunsigned 8bit  mono にするか signed 16bit  stereo にするかなどを切り替えられるはず(動作確認はしていない)。

プロジェクトファイル

使用したプロジェクトのソースファイル等をGitHubの次のリポジトリに置いた。

https://github.com/kunsen-an/espidf_pdm_sph0641_mic_out

テスト

環境

• Windows 10
• Visual Studio Code
  •  バージョン: 1.39.2 (user setup)
• PlatformIO
  • Home 2.3.3  Core 4.0.3
• フレームワーク
  • Espressif 32 (Version 1.11.0)

結果

サンプリング周波数48kHz、96kHz、192kHzを試してみた。可聴音で試したところ48kHz、96kHzは動作しているようである。192kHzは無理のようであった。

ESP32 Technical Reference Manualをよく読んで、レジスタを操作すればできるのかもしれないが、現時点ではライブラリを使って試しただけである。

害虫よけの超音波発生器をマイクのすぐ近くにおいて録音し、それをDACで変換して再生した信号をオシロスコープの簡易FFT機能で見てみた。次のように25kHz付近の信号が観測された。

害虫よけの超音波発生器がない場合は、次のようなスペクトルであったので、少なくとも25kHzくらいまではMEMSマイクで録音できると考える。