QNAPのARMプロセッサ搭載NASに calibre-webをインストールする

QNAPの古いNAS に Entware を利用してcalibre-web をインストールしてみた。

以前「QNAPのNASで Calibre-web を動作させる」でQNAPのIntelのプロセッサを搭載したNASの Docker を使って calibre-web をインストールしたが、独立したNASで 書籍ファイルの管理をしたいと思った。細かなところで手間取ったので備忘録として残しておく。

手元で余っているNASは、古い ARM のプロセッサを搭載したNAS (QNAP TS-112) しかない。Dockerは使えないので、Entware ( https://github.com/Entware/Entware ) を使って calibre-web をインストールした。

環境

利用したNAS

かなり古いMarvell 1.2 GHzを搭載した QNAPのNASを利用した。

モデル: TS-112
ファームウェアバージョン: 4.3.3.1098

クライアント

Windows 10 Pro (バージョン 1903)

ssh でNASに接続できるとする。

EntwareのNASへのインストール

QNAPのNAS用のEntware をダウンロードするために、qnapclub.eu をアプリレポジトリに登録する。次のサイトの手順に従って登録する。

https://www.qnapclub.eu/en の Follow our guide to install QPKG  ( https://www.qnapclub.eu/en/howto/1) に従う。

リポジトリの追加

NASのAppCenterの歯車アイコンをクリックして設定のパネルを表示する。

アプリリポジトリのタブを選択して次のURLをWebサイトのURL に指定する。必要に応じて名前も指定する。ここでは、qnapclub.eu を名前とした。

https://www.qnapclub.eu/en/repo.xml

インストール

リポジトリとして、QNAP store ではなく、qnapclub.eu を選択する。少し時間がかかったが、しばらくするとインストール可能なアプリなどが表示された。

Entware-std 1.00をインストールする。

Entware-3x や Entware-ng はEntware-stdに統合され、もう保守されないとのことなので、Entware-std が良いとこと。

calibre-web インストールのための準備

SSHでNASに接続

コマンドラインでインストール作業を行うので、ssh で NASに接続する。

パソコンなどから ssh を利用して次のようにして NAS に接続する。

ssh admin@<NASのアドレス>

(たとえば、ssh admin@192.168.1.10)

gitのインストール

calibre-web からzip ファイルをダウンロードしても良いが、今後の更新も考慮に入れて git clone ができるようにする。

次のコマンドを実行する。

ちなみに、git をインストールするために opkg install git としたところ git でhttps のリポジトリをアクセスしようとすると次のようなエラーとなったので、j上記のように git-http をインストールする必要がある。

pipのインストール

つぎに、calibre-web のインストールに使うpipをインストールする。

次のようなメッセージが出てインストールされた。

pipと setuptools の更新

次のコマンドを実行して、pipと setuptools を更新しておく。

次のようなメッセージで終了した。

calibre-webのインストール

github からダウンロードするために、空きスペースのある領域をワーキングディレクトリにする。

ssh で admin でログインした際には /root がホームディレクトリになっていたが、/ がマウントされている/dev/ramドライブの空きが15.7Mしかなく、空きスペース不足でダウンロードできなかった。

calibre-web の git clone

共有フォルダーの Public (/share/HDA_DATA/Public/)でcalibre-webをgit cloneしてダウンロードした。

calibre-web の中をリスティングすると以下の通り。

以下は、https://github.com/janeczku/calibre-web の README.md のQuick start記述にしたがってインストールを行う。

必要なライブラリなどをインストール

依存しているライブラリなどをインストールする。

以下のメッセージを出力して終了した。

Calibre-web serverの起動

python cps.py を実行することでサーバーが起動する。

ここでは設定していないが、常時起動するためには、NASの起動時に実行されるように設定する必要がある。

Calibre-webへのアクセス

ブラウザからNASの Calibre-web にアクセスする。ポート番号は8083。

http://<NASのアドレス>:8083

Calibre libraryの設定

Location of Calibre database に Calibre データベースのあるパスを設定して「Submit」をクリックする。

たとえば、 NASの共有フォルダePubのcalibre にデータベースがある場合には、「/share/HDA_DATA/ePub/calibre」を設定する。

Calibre-web サーバーへのログイン

Quick startに記載されている次のデフォルトログイン情報でログインする。

Username: admin
Password: admin123

ログイン後の画面の例は次の通り。

この後、admin以外のユーザの設定などが必要であるが、以前の備忘録と重複するので省略する。