Bitcoinをはじめとする仮想通貨の価格上昇に伴って仮想通貨の採掘が再びブームとの話があり、少し試してみることにした。
採掘で少し仮想通貨が溜まれば、それを使うことで明示的に日本円を仮想通貨に交換しなくても、自前のWalletを使った実験が少しできそうなことも動機の一つである。もっとも、電気代と仮想通貨を交換していることになるので、日本円と交換をしているとも言える。
手元にあるちょっと古い nVidia RTX 2080 を搭載したゲーミングPCを使って試してみた。調べてみると利益が多い場合には税金とかが面倒そうであるが、約1か月間の実績から考えると、給与所得者が雑所得として確定申告が必要になる金額に達しない見込みである。
目次
NiceHash
採掘に利用するソフトウェアなどを少し調べたが、ドキュメントが十分になかったり、インストールや設定が面倒なものが多い印象であった。
マイニングプールも少し調べたが、手元の環境での採掘に適した仮想通貨が何かはっきりしなかったし、マイニングプールの信用度も良くわからない。また、マイナーな仮想通貨を採掘しても実験に使える仮想通貨に交換するのが面倒だったりする感じがした。
ハッシュパワーの取引所のNiceHashがツールを出していて、インストールも簡単なようであった。また、マイニングプールとは異なって、提供するハッシュパワーがどの仮想通貨の採掘に用いられるとしても報酬はBitcoinで支払われるというのも好都合であった。Bitcoinなら他の仮想通貨への交換も一番楽と思われる。ハッシュパワーを売る際には、NiceHashが2%の手数料を取るが(https://www.nicehash.com/support/general-help/nicehash-service/fees )、許容範囲と考えた(NiceHash外に送金するには別途手数料が必要)。
NiceHashは2017年にハッキングで4736 BTC(76億円相当)の被害を受けており、セキュリティ面などでどの程度大丈夫なのかはっきりしないが、お試し採掘なので、すべて失われても大きな損害を被ることはないと判断した。
NiceHash Miner (NHM)
2021年2月に始めたころはWindows10上で NiceHash Miner を使った。ソフトウェアをダウンロードして実行しようとするので脅威として検出された。以下のようなソフトウェアを許可しないといけなかった。
NVIDIA and AMD graphics cards OC settings for mining に従って、MSI AfterburnerでOverclock の設定をしたが、Power Limitの設定が良くわかっておらず、GPUの温度が80度超えになっていた。このため、GPUのファンがうるさい感じであった。
NiceHash Miner は、その時々で最も報酬の良いアルゴリズムを使うようになっている。手元のPCでは、Ethereum (ETH) およびその派生仮想通貨のProof-of-work に用いられる Ethash アルゴリズムの実装の一つである daggerhashimoto が一番長く使われていた。次に、Conflux (CFX) を採掘するアルゴリズムの Octopus が時々使われ、極たまに、Ravencoinなどを採掘するためのKAWPOW が使われていた。
NiceHash QuickMiner (NHQM)
2月の下旬になって、NiceHash QuickMiner を使うことにした。NHM と比べて、デジタル署名がされているので、脅威として検出されて警告が出ることがない点と、Overclockの簡便な設定ができる点が良い。もっとも、脅威として検出されない点はNiceHashがどの信頼できるか否かによって評価は異なるであろう。一方、Excavator による daggerhashimoto しか使えない点は残念な点である。
使い方などは、How To Start Mining with NiceHash QuickMiner – Official Guide などに説明がある。
Dashboard
タスクバーのインジケーターの QuickMiner アイコンを右クリックするとメニューが表示される。採掘中は、ハッシュレートが表示されている項目を選択することで dashboard のウィンドウを開くことができる。
Rig Manager
Dashboardから Miningを選択すると Rig Manager の画面となる。下の図では、NiceHash Miner と NiceHash QuickMiner が別のリグとして登録された状態になっている。当然ながらどちらか一方しか動作させることはできない。下の図では、QuickMiner を動作させている。
Overclockの設定は、NiceHash QuickMiner: Optimize your GPU with one click! に従って、下の画面の青の楕円で囲んだ Optimize ボタンを使った。LiteでもMedium でも正常動作しているようなので、Medium を使っている。
これで、GPUの温度が58度くらいで、GPUメモリの温度が90度くらいになった。GPUのファンの音も気にならないくらいになった。
OCTune
Overclock の調整もタスクバーのインジケータの QuickMiner のアイコンを右クリックして、OCTune を選択すると開くことができる。
次のような画面で細かな調整をすることができる。
報酬
2021年3月8日の報酬は以下のようだった。
日毎の支払いは以下のようであった。始めたころは1日あたり 0.15mBTCのこともあったが、2021年2月23日から3月8日までの14日間を平均すると 0.077mBTC であった。
消費電力
採掘を始めて少したってからゲーミングPCの電力消費量を測るようにした。
NiceHash Miner で Overlockの設定ができていない時は6kWh/日くらいの時もあったが、NiceHash QuickMiner でOptimize を使ったところ 4kWh/日くらいである。
収支
2021年3月8日夜の NiceHashのダッシュボードに表示されていた1BTCの価格が約550万円の交換レートを使用すると1日の収入は 0.077mBTC×5,500,000円/BTC=385円。
我が家では電気料金がおよそ28円/kWhなので、4kWh×28円/kWh=112円。1か月の電気料金が3千円以上増えることになる。
これから1日あたり385-112= 273円の利益が得られることになる。1年365日フルに動作させても年間10万円弱の見込みである。また、気温が上がると冷房が必要になるので、いつまで続けられるかわからない。
雑所得が20万円以下の場合、給与所得者の場合には確定申告不要のはずなので、Bitcoinの交換レートが倍以上にならない限りは、確定申告は不要の見込みである。
税金のための計算ではNiceHashからの支払いの度にその時の交換レートで収入があったとして計算する必要があるらしいので結構面倒である。今のところは余計な心配であるが、支払いがあったとみなすのは4時間ごとの Payouts to NiceHash wallet の時点で良いのであろうか?
今後
NiceHashから外部に送金できる最低額(Withdrawal fees from NiceHash wallet) である1mBTC を超える採掘ができたので、時間を見つけて自前のWalletを作って送金するなどして遊びたい。