Aliexpress で安い CO2センサーモジュールがあったので、買って試してみた。メーカー製のアプリケーションで動作確認すると共に、M5Stack Atom Matrix と Atom Hub DIY Proto Board Kit と組み合わせて動作させてみた。
Aliexpress内で「Infrared carbon dioxide sensor Indoor Air 」のキーワードで検索できた(現在は売り切れのようで検索結果に出てこない)。センサーが1個400円ほど、送料が300円台であった。
販売ページにはセンサーの型番などは表示されておらず、技術的情報は提供できないと書いてある。ただ、Aliexpress のコメント欄から CM1106 であるようだ。検索すると Cubic Sensor and Instrument Co.,Ltd. の Single Beam NDIR CO2 Sensor CM1106-C を見つけることができた。このページから仕様書やアプリケーションがダウンロードできる。
Aliexpress の商品ページでは、Ver.1.0 と Ver.3.3 があり、いずれかが送られるとのことだったが、商品ページの写真と実際のセンサーの形状から判断すると手元に届いたものはすべて ハード的にはVer.3.3 であった。
正式な製品はI2Cインタフェースが使えるようであるが、届いたものではI2Cインタフェースで動作させる方法はわからなかった。I2Cでは動作しない古いファームウェアと考えるのが良さそうである。
目次
メーカー提供アプリケーション
UART(シリアル)-USB変換ボードを介してセンサーモジュールとパソコンをつないで、センサーの測定値を取得したり、パラメータを変更できるWindows用アプリケーションが https://en.gassensor.com.cn/CO2Sensor/info_itemid_86.html の Testing Software のところからダウンロードできる。
CO2 sensor test software.rar がダウンロードできた。7-zip で解凍しようとするとエラーになったが、オンラインサービスで解凍したところ、Co2 Batch test software version 1 V1.2.6.rar と The CO2 sensor testing software V1.1.8.rar の2つのアプリケーションが含まれていた。
単体テストのアプリケーションプログラムは、The CO2 sensor testing software V1.1.8.rar のようであり、解凍すると以下のファイルが含まれていた。
この中の The CO2 sensor testing software.exe をWindows10で実行した。
UART-USB変換モジュールを介して、仕様に書いてある通り次のように接続した。
- センサーの4ピン並んでいるCON4側のPin1 (V2) に 5V、Pin2 (G) に GND
- 5ピン並んでいるCON5側のPin2 (R) に UARTのTX、Pin3 (T) に UARTのRX、Pin4 (R/T)に GND
測定値表示
アプリケーションの使い方は、 https://en.gassensor.com.cn/CO2Sensor/info_itemid_86.html の Client Test Method のところからダウンロードできるファイルに書いてある。
センサーを接続した直後は次のようになった。測定値は5000ppmになっていた。
また、センサーのソフトウェアバージョンは、CM V1.1.01 であった。
しばらく経過すると1000ppm台になったが、手元のセンサーから判断すると400ppm~600ppmと思われるので大きすぎる。Auto-calibrationで自動的に校正されるようであるが、アプリケーションで設定することもできる。
パラメータ変更
Set value に値を設定して「Zeroing」をクリックすると設定できる。
ハードウェアの組み立て
M5Stack Atom Matrix と Atom Hub DIY Proto Board Kit と組み合わせて動作させてみた。
Atomの 21番pin、25番pin をそれぞれ Serial1の RX、TXとした。
CM1106の CON5側の R (Pin2) に 25番pin、T (Pin3) に21番pinを接続することになる。
以下の写真のラベルの21:Tや25:Rは ESP32側:CM1106側という対応 を意味している。
プログラム
PlatformIO IDE for VSCode で開発した。
Atom Matrix の LED に5×5のフォントを使用して、 ppm単位のCO2濃度の数値を1桁ずつ順番に表示するようにする。
ISO485_CM1106.ino
Serial の扱いは、 https://github.com/m5stack/M5-ProductExampleCodes/blob/master/Unit/ISO485/Arduino/ISO485/ISO485.ino を基にして作成した。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 |
// This program is based on https://github.com/m5stack/M5-ProductExampleCodes/blob/master/Unit/ISO485/Arduino/ISO485/ISO485.ino #include <M5Atom.h> #include <Wire.h> #define LED_BRIGHTNESS 50 #define MEASUREMENT_INTERVAL (5 * 1000) #define DISPLAY_INTERVAL (500) #define BLANK_INTERVAL (50) extern const unsigned long Font[]; void showChar(char c) { int d = Font[c - ' ']; M5.dis.clear(); delay(BLANK_INTERVAL); CRGB color = {LED_BRIGHTNESS, LED_BRIGHTNESS, LED_BRIGHTNESS}; for (int x = 0; x < 5; x++) { for (int y = 0; y < 5; y++) { if (d & 1) { M5.dis.drawpix(x, 4 - y, color); } d >>= 1; } } } unsigned long lastMeasured; unsigned long lastDisplayed; char str[128]; int charPos = 0; void setCO2String(int co2) { sprintf(str, " %d", co2); } void showNext() { char c = str[charPos]; if (c == '\0') { charPos = 0; c = str[charPos]; } if (c == '\0') { c = ' '; } else { charPos++; } showChar(c); } String received = ""; void setup() { M5.begin(true, false /* disable I2C */, true); Serial.begin(115200); Serial1.begin(9600, SERIAL_8N1, 21, 25); } void loop() { unsigned long now = millis(); if (M5.Btn.wasPressed() || now > (lastMeasured + MEASUREMENT_INTERVAL)) { lastMeasured = now; Serial.print("send: "); String sendMessage = "\x11\x01\x01\xed"; // read CO2 Serial.println(sendMessage); Serial1.write(sendMessage.c_str()); } if (Serial1.available()) { char ch = Serial1.read(); String hex = String(ch, HEX); if (ch == 0x16) { received = String(ch); } else { received += ch; } Serial.print(hex); Serial.print(" "); if (received.length() == 8) { int df1 = received.charAt(3); int df2 = received.charAt(4); int co2 = df1 * 256 + df2; Serial.printf("\nCO2: %d\n", co2); setCO2String(co2); } } if (now >= lastDisplayed + DISPLAY_INTERVAL) { lastDisplayed = now; showNext(); } M5.update(); } |
font5x5.c
フォントは、http://shinh.hatenablog.com/entry/20060814/1155567183 のものを使わせていただいた。以下のプログラムではフォントデータは省略してある(使うためには上記のURLからのcopy-and-pasteが必要である)。
1 2 3 |
const unsigned long Font[] = { // http://shinh.hatenablog.com/entry/20060814/1155567183 のフォントデータをそのまま copy-and-paste }; |
platformio.ini
使用した platformio.ini は以下の通りであった。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 |
; PlatformIO Project Configuration File ; ; Build options: build flags, source filter ; Upload options: custom upload port, speed and extra flags ; Library options: dependencies, extra library storages ; Advanced options: extra scripting ; ; Please visit documentation for the other options and examples ; https://docs.platformio.org/page/projectconf.html [env:m5stick-c] platform = espressif32 board = m5stick-c framework = arduino lib_deps = m5stack/M5Atom @ ^0.0.1 fastled/FastLED @ ^3.3.3 ; Serial Monitor options monitor_speed = 115200 |
動作確認
自動校正が15日で行われるとのことで新しいセンサーで動作させてみた。15日間で最小の値がベースラインの400ppmとなるように校正する仕様のようだ。
2週間は自動で校正がされることはなく、CO2の増減はわかるが、人がいないところでも1000ppm越えが続いた。手元のNetatmo Weather Stationの二酸化炭素濃度測定値は400~600ppmくらいであった。このため、自動校正行われないのではないかと思っていた。しかし、15日目に500ppmくらいになった。仕様通り自動校正が行われたようであり、手元のNetatmoの二酸化炭素濃度測定値との差が100ppm以下になった。